
「ハッピー・ベトナム2025」人権メディア賞の授賞式は、優れた作品を讃える場であると同時に、あらゆる幸福の根幹にある“人間の尊さ”そのものを祝う夜となった。会場では、感情の奥行きを丁寧に掘り下げる芸術パフォーマンスが随所に盛り込まれ、共有や共感、誇りといったテーマが巧みに表現された。
本アワードは文化スポーツ観光省が中心となり、ハノイ人民委員会、ベトナムテレビ、ベトナム写真芸術家協会などの協力を得て、2023年から毎年開催されている。
2025年の審査では、写真とビデオのそれぞれの部門から、最優秀賞1点、2位2点、3位3点、特別賞10点、観客投票賞、創造性賞が選ばれた。
- 写真部門 最優秀賞:ファム・ゴック・ロン・ティエン氏「上昇の時代」
- ビデオ部門 最優秀賞:ルー・ミン・クオン氏「幸せな笑顔」
文化スポーツ観光省のレ・ハイ・ビン常任副大臣は式典で、「創設から3年で応募総数は約4万件に達し、この賞は単なる作品コンテストの枠を超え、全国規模の文化プログラムへと成長した」と述べた。
受賞作や代表的作品は国内外で展示されており、ヨーロッパ、アジア、ラテンアメリカの文化イベントでも紹介されるなど、ベトナムの魅力を世界へ届ける役割を果たしている。また、海外にある約100のベトナム代表機関も広報活動に積極的に活用し、平和的で人道的、文化豊かなベトナム像の発信に寄与している。
ルー・ミン・クオン氏は、ビデオ作品を制作するために2年半もの間ベトナム国内を巡り、人々の日常、働く姿、山岳地域の子どもたち、訪れた旅行者の笑顔など、幅広い瞬間を映像に収めた。
一方、ファム・ゴック・ロン・ティエン氏の写真作品は、2025年4月28日に行われた「A50」記念イベントで撮影されたもので、統一50周年を祝う人々の高揚感に満ちた表情を捉えている。活気あふれるバクダン埠頭の雰囲気や、記録的なドローンショーを待つ観客の期待が、作品全体を明るく象徴的なものにしている。
今年は、各部門で準大賞4名、3位6名、奨励賞20名も選ばれた。
また、ベトナム通信社からも多数の受賞者が出ており、サッカーのASEANカップ2024優勝をまとめた作品や、医療の奇跡を描いた写真集などが高く評価された。映像部門では、テクノロジーが生む希望を描いた記者の作品が入賞している。
さらに、革新的な表現を追求した2作品にはクリエイティブ賞が贈られ、観客が最も感動した作品に対してはオーディエンスチョイス賞が授与された。
会場では、参加者がQRコードを通じて自然災害被災者への募金に参加できる仕組みも設けられた。寄付金はベトナム祖国戦線委員会を通じて透明性をもって届けられ、最終的な金額は12月7日夜に公式サイトで公開される。
式の終盤、マイ・ヴァン・チン副首相が「幸せを灯そう」という象徴的なメッセージを発した瞬間、会場全体が温かな一体感に包まれた。この誓いは、全国34省市、そして海外に暮らすベトナム人コミュニティへ向けて“幸福を広げる”意志を共有するものである。
