
ASEANを第4の成長エリアに位置づけ、グローバル展開を加速
文房具・オフィス家具の製造販売を手がけるコクヨ株式会社(大阪府大阪市)は、ベトナムの大手文具メーカーであるティエンロン文房具グループ(Thien Long Group=TLG)を子会社化する方針を明らかにした。コクヨが設立する特別目的会社を通じて株式を取得し、TLGをグループに迎え入れる計画だ。
今回の取引は、下記2つのプロセスで構成される。
- TLGの主要株主であるティエンロン・アンティン・インベストメント(TLAT)株式の取得
- TLATはTLG株式の46.82%を保有
- コクヨはTLATの全株式を取得し、この持分を間接的に取得する
- TLG普通株式の公開買付(TOB)の実施
- 取引完了後、TLG株式の18.19%を上限に公開買付を実施
- TLATの株式取得と合わせて、最大65.01%の議決権を取得
総取得額は約276億円を見込む。なお、TLAT株式の譲渡完了は2026年8月、公開買付は同年10〜11月にかけて実施される予定だ。
両社は創業家の意向も踏まえ、友好的かつ中長期の成長を見据えた取引としている。
TLGは1981年に筆記具製造からスタート。ボールペンをはじめとした筆記具を中心に多様な文具を展開し、ベトナム国内で高い市場シェアを獲得してきた。
近年はASEAN地域へ販路を広げており、東南アジアで強固な販売ネットワークを確立していることが強みだ。
コクヨがTLGをグループに迎える目的は、以下の2点に集約される。
TLGが長年培ってきた製造力・ブランド力・市場シェアを取り込み、コクヨのステーショナリー事業を世界規模で拡大させる狙いがある。
日本・中国・インドに続き、ASEANを新たな成長エリアとして位置づけ、事業展開を加速する計画だ。
TLGの持つ販路を活用すれば、各国の文具市場でのプレゼンス向上が期待される。
