
日本の教育現場が大きな転換期を迎える中、学研ホールディングスのグローバル戦略が新たなフェーズに入った。
同社の連結子会社であるDTP Education Solutions(以下、DTP)は、2025年12月24日、日本法人「DTP Education Japan合同会社」を設立。2026年1月27日には、関係者を招いた記念セレモニーを開催し、日本市場での本格的な事業展開をスタートさせた。
この動きは、単なる海外企業の日本進出ではない。
アジアで培われた教育ノウハウと、日本の教育現場が求める品質・実用性を融合させる試みとして、教育業界内でも注目を集めている。
学研ホールディングスとDTPの関係は、2023年に締結された資本提携から始まった。
その後、両社は教育コンテンツ開発や事業連携を段階的に深め、2024年11月にはDTPを連結子会社化。アジア市場を見据えた教育事業の中核パートナーとして位置づけられるに至った。
DTPは、ホーチミン市を拠点とするベトナム有数の教育出版・教育サービス企業だ。
公立学校向け教科書・学習教材の供給をはじめ、英会話スクール事業、教育コンテンツ・学習サービスの開発・提供まで、オンラインとオフラインを横断した教育ビジネスを展開してきた実績を持つ。
資本提携後、DTPは従来の英語教科書ビジネスにとどまらず、日本発の教育コンテンツを活用した教材開発や、学校での課外授業運営の受託など、事業領域を着実に拡大してきた。
今回の日本法人設立により、その取り組みは新たな段階へと進む。
ベトナムを中心とした東南アジアで磨き上げた教育コンテンツやデジタル学習サービスを、日本の教育現場へ最適化して提供。さらに、日本とアジアを結ぶハブとして、アジア全域での教育ビジネス展開を加速させる狙い
DTP Education Japanが掲げるミッションは明確だ。
それは、日本の教育現場に適合した高品質なデジタル対応型教育コンテンツを提供すること。
特に注力する領域は以下の通り。
- 小学校・中学校・高校向け英語教育
- 内容言語統合型学習(CLIL)教材
- 印刷教材とデジタルを組み合わせたハイブリッド型教材
- 学校現場への導入・運用サポート
単に教材を提供するだけでなく、「導入後、現場でどう使われるか」までを見据えた支援を行う点が大きな特徴に
日本の学校現場では今、
- 教員の業務負担増
- 学習ニーズの多様化
- 教育DXへの対応
といった複合的な課題が顕在化している。
DTP Education Japanは、これらの課題に対し、次の3つの原則を軸としたソリューションを提供する方針を示している。
- 実用性:授業で「すぐに使える」教材設計
- 教育DXの推進:デジタルと紙を適切に融合した学習体験
- 導入支援:学校現場に寄り添ったサポート体制
教育理論だけでなく、実際の教室運営を理解した上で設計されたコンテンツである点が、同社の強みといえるだろう。
今回の日本法人設立は、学研ホールディングスにとっても、DTPにとっても、単なる組織拡大ではない。
それは、アジア発の教育価値を日本に届け、同時に日本の教育知見をアジアへ還流させるための重要な拠点づくりである。
教育の質、現場適応力、デジタル活用——。
そのすべてが問われる時代において、DTP Education Japanがどのような価値を日本の教育現場にもたらすのか。今後の展開に注目が集まる事は間違いなさそうです。
