2025年7月14日 8:57 AM

2025年7月12日現地時間、ベトナムに新たな世界遺産が誕生!

2025年7月12日午後6時(ベトナム時間)、フランス・パリで開催中の第47回ユネスコ世界遺産委員会において、ベトナム北部の複数省にまたがる歴史的遺跡群が正式に世界文化遺産として登録されました。

歴史と信仰が交差する三省の文化的結晶

今回登録されたのは、クアンニン省(Quảng Ninh)、バクニン省(Bắc Ninh、旧バクザン省 Bắc Giang)、そしてハイフォン市(Hải Phòng、旧ハイズオン省 Hải Dương)にまたがる「イエントゥー・ヴィンギエム・コンソン・キエップバック歴史・景観複合遺跡群」です。この地域は、13世紀に設立されたチュックラム禅宗(Trúc Lâm Yên Tử)と深く結びついた仏教文化の中心地として、長年にわたり多くの巡礼者を迎えてきました。

この遺産は、ベトナムにとって9件目の世界遺産登録であり、複数の省にまたがるものとしては、ハロン湾・カットバ諸島に続く2件目の登録となります。

遺産の構成と面積

この文化遺産群は総面積約4,910ヘクタールにわたり構成されており、うち中核地域が525.75ヘクタール、緩衝地域が4,380.19ヘクタールに設定されています。エリア内には、歴史的な寺院群や修行の場、自然景観が共存しており、訪問者は信仰と自然が織りなす荘厳な空間を体験することができます。

遺産群に含まれる主要スポット

この世界遺産は、以下の12の構成要素から成り立っています:

  • クアンニン省(5か所):
    イエントゥー寺(Hoa Yên)、ゴアヴァン庵、タイ廟、バックダンの祭場(Yên Dũng)、ラン寺(Long Động)
  • ハイフォン市(旧ハイズオン省、5か所):
    コンソン寺、キエップバック寺、タンマイ寺、キンチュー洞窟、ナムズオン寺
  • バクニン省(旧バクザン省、2か所):
    ボーダー寺(Bổ Đà)、ヴィンギエム寺(Vĩnh Nghiêm、Đức La)

登録の根拠となった文化的価値

ユネスコはこの遺産群を評価するにあたり、以下の2つの世界遺産登録基準を適用しました:

  • 基準(iii):現存または消滅した文化的伝統、または文明に対して、特異で顕著な証言を持つ遺産であること。
  • 基準(vi):顕著な普遍的価値を持つ思想や信仰、芸術、文学などと直接的に関連する建築・文化遺構であること。

ユネスコ総会議長であるニコライ・ネノフ教授(ブルガリア)は、これらの基準を満たすことで、同遺産が国際的にも高い文化的意義を持つことを認めたと述べました。

国際協力と長期的な申請準備

この世界遺産登録は、地元自治体、中央政府、そして国際記念物遺跡会議(ICOMOS)との連携による長年の努力の成果です。調査と申請のプロセスは2013年に始まり、文化財の保存と価値の再発見が粘り強く続けられてきました。


この歴史的認定により、ベトナムの宗教文化や精神的伝統が世界に広く認識されるとともに、地域の観光・文化振興にも大きな弾みがつくことでしょう。イエントゥーの聖地を訪れる巡礼者たちにとって、その価値はこれからますます深まっていきます。