ENEOSホールディングスは、米国石油大手シェブロンが展開する東南アジアなど6か国の燃料油・潤滑油販売事業を取得すると発表した。取得総額は21億7000万ドル(約3400億円)に上り、海外事業拡大に向けた大型投資。
今回の買収は、ENEOSホールディングスがシンガポールに設立した特別目的会社(SPC)を通じて実施される予定。対象にはベトナム市場も含まれており、同国で潤滑油事業を展開する「Chevron Lubricants Vietnam」の全株式取得も計画している。
日本国内では人口減少や脱炭素化の流れを背景に、石油製品需要の縮小が続く見通しだ。一方で、ベトナムをはじめとする東南アジア地域では、経済成長や自動車普及の拡大に伴い、燃料油や潤滑油の需要増加が期待されている。
ENEOSはこうした市場環境を踏まえ、成長余地の大きい海外市場への投資を強化。今回の買収によって、東南アジアにおける販売ネットワークや供給体制を拡充し、グローバル事業基盤の強化を進める方針だ。
株式取得は、各国の関係当局による承認などを経て、2027年中の完了を目指している。ENEOSは買収後、燃料油・潤滑油事業の効率化に加え、トレーディング事業の拡大も推進する考えだ。
さらに、2030年度までに営業利益ベースで2億5000万ドル(約400億円)の利益貢献を目標として掲げており、海外事業を新たな収益柱へ育成する戦略を鮮明にしている。
今回の大型買収は、ENEOSが進める海外成長戦略の中核案件とみられる。特に経済成長が続くベトナム市場では、自動車・二輪車需要の増加や産業発展に伴い、潤滑油市場の拡大が期待されている。
国内需要減少への対応が求められる中、ENEOSは東南アジア市場での事業拡大を通じて、中長期的な収益基盤の強化を図る。今回のシェブロン事業取得は、その方向性を象徴する動きとなりそうだ。
